画面の向こうとラブレター

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 私が告げると、立花は顔を真っ赤にして俯いた。どうやら、結論はそこで間違っていなかったらしい。 「なるほどね。で、いつかは好きだって伝えたいのね?」 「……まあ」 「OK。でも、会う前にそれ言うのNGだからね?確実に警戒されるよ。相手はスターライツに出会い系目的で登録してるわけじゃない。あんたが先にそれ言ったらあんたが出会い系目的のやべー人と誤解されて、下手すりゃそれで縁が切れる可能性もあるんだから」 「わ、わかってるって」  出会った場所がツニッターではない、というのが問題なのだ。向こうはあくまで作品を投稿する場所であり、公募に挑む場所として小説投稿SNSに来ているのだろうから。  既に友達として数年付き合いがあるために多少の信用はあるだろうが、それでもその手の場所で“会いたいです”はかなりハードルが高いのも事実である。ましてやそれが、二人きりなら尚更に。なので。 「向こうも向こうで、立花のことをやべーオッサンとかかもって警戒してるかもだし?それに、自分の見た目を知られて失望されたくないから会いたくないなんて人もいるわけ。……だから最初はさ、スカイプとかでテレビ通話するところから始めて見たらどう?それで一度相手の顔見てれば、会うハードルは各段に下がると思うんだよね」 「あ、な、なるほど!そこから誘うのもありか!」 「そうそう。最初は音声通話からでもいいし?……あくまでお友達として会いたい、変な目的ではないっていうのをきっちり相手に信じて貰ってから“リアルで顔合わせましょう”にした方がいい!……というわけで、お誘いのメッセージ書きなさいな。立花が書いたやつ、私が添削してあげるから」 「うおおおおおおおおおお!ほんとか!ありがとうレイナ!マジで助かるぜ!愛してる!!」 「こらっ!ひっつくな、大袈裟すぎ!」  喜びに目を潤ませながら抱き着いてくる立花に、その背中を撫でながら私は思った。  彼女の髪の、シャンプーのいい香りがする。その香りをかぐたびにドキドキしてることなんて、立花は生涯知ることなんてないのだろう。 ――あんたが幸せなら……それでいいよ、私は。  ちくりと痛む胸に、見て見ぬふりをしつつ。  私はそれとなく、彼女の髪に手を伸ばしたのだった。
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