画面の向こうとラブレター

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 ***  今のご時世、SNSで顔も本名も知らない友達ができるというのは珍しいことでもなんでもない。特に、私達のような女子高校生で、ツニッターもインスタもやっていないという人は稀だろう。なんなら自分で動画投稿している人もいるだろうし、他にも様々な交流SNSがあるご時世だ。小説やイラストを投稿するSNSでも、人と交流することは少なくあるまい。  立花がツニッターをやっていることは知っていたし、自分で書いた小説をSNSに投稿していることも知っていた。確か小説投稿SNSスターライツというところを拠点にしていたのではないだろうか。  それらを経由して、ネッ友がたくさんいるというのも知ってはいたのだが、まさか。 「……マジ恋?」  私が尋ねると、彼女はこくん、と頷いた。ショートカットで、制服を着て歩いていなければ美少年にも見えるような容姿の立花。しかし今日はそんな彼女が、やけに女の子らしく見える。  恋は女の子を可愛くする、なんて言っていた人がいたが、案外本当なのかもしれない。 「あたし、将来の夢は小説家だって言ったことあるよな?バスケは楽しいけど……それでプロになれるとか思ってないし。大学は文学部に入ってさ、文芸サークルとかも利用して、とことん小説の勉強しようって思ってんだよな。今の技量じゃ、とてもじゃないけどプロでやっていけるとは思ってないし。だから今はその、楽しく小説書けばいいやーって感じなんだけど」 「まあ、そう言う人は少なくないと思うけど」 「で、四年くらいまえからスターライツで小説投稿し始めてさ。あそこ、交流する掲示板とか、そういう機能も豊富で。そこでいろんな作家志望の人とお話できて、アドバイス貰えたりすんだけど。そこで出会ったのが……青猫さんっていうハンドルネームの人なんだ」  立花は教えてくれた。  なんでもスターライツというサイトでは、暗黙の了解で作家が格付けされているというのである。表にそういう機能があるわけではなく、裏の掲示板でなんとなくランク分けされている傾向にあるのだそうだ。大多数の無名のユーザーはEランクに分類され、一番上のSランクに入る“書籍化作家”や“公募の受賞常連”の作家は皆に尊敬される傾向にあるらしい。
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