画面の向こうとラブレター

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画面の向こうとラブレター

 好きな人がいるんだけど、と。  同じ高校のクラスメートにして親友の立花(りっか)が言い出した時、私は目を見開いたのだった。男勝りでボーイッシュ、クラスの男子とも喧嘩ばっかりしている彼女にそんな相手がいたなんて――完全に初耳だったからだ。 「え、立花恋愛のキョーミあったの?マジで?」 「……レイナお前、ひどくね?あたしのことなんだと思ってんだよ」  思わず素直な感想を漏らしてしまう私に、立花は唇を尖らせる。ちなみにここは教室で昼休みの真っただ中。周辺には、他のクラスメートたちもわちゃわちゃと雑談している状況である。  誰か聞き耳を立ててやしないかと、つい周辺を見回してしまう私。 「いやだってさあ」  きょろきょろしつつ、私は立花に告げる。 「立花、うちのクラスの男子どもはガキっぽいから好きじゃないとか、恋愛対象にならないって自分で言ってたじゃん。私もあんたとは中学からの付き合いだけどさ、全然男っ気ないなとは思ってたわけよ。せっかく美人でモテるのに」 「あたしが美人とか、そりゃレイナの目が腐ってるよ。あたしみてーなガサツな女が好きな奴なんていないって。世の男どもが好きなのは、乃木坂とか日向坂みたいなおしとやかで白いワンピースが似合いそうな清楚系美少女の皆さんなんだってば」 「まあ、ああいうのが理想だろうなというのは想像つくけども」  どうやら、クラスの男子ではないらしい。  ただ、だとすると一体どこの男なのかがまったく想像つかない。立花は女子バスケ部所属であり、当然部活では女としか顔を合わせない。先生もマネージャーも全員女だったはず。塾などは行っていないし、クラス以外に男と接点がありそうなところが見当たらないのだが。 「クラスの男じゃないなら、誰なのよ?」  私が尋ねると、立花はちょっと困ったように頬を染めて、ぽつりと言ったのだった。 「……ネッ友、さんなんだけど」
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