帰郷

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そんな愚痴を聞く事には、恵奈は慣れていた。 いつも、鶴と亀の愚痴を聞いてやっていたからだ。 瑠衣の愚痴を聞きながら、せっせと肩揉みをする、それも、疲れて帰る 父親の肩を揉んでいたので、とても上手だと、ルイは褒める。 そして、今までは一人で行くので、つまらなかったけどと 瑠衣は、買い物や、観劇等に、恵奈を連れて行くようになり その為にと、次々に洋服を買い与え、着せ替えさせては、喜ぶ。 そして「恵奈みたいな、孫が居たらね~」と言う言葉が、瑠衣の、口癖になる こうして、瑠衣と恵奈は、二人だけの、楽しい日々を過ごしていた。 それから、一年近く経った頃、滅多に帰らない、主人、久幸が帰って来た。 久幸の方の親戚に、不幸があったらしいのだが 妻の恒子は、仕事が忙しいからと、帰って来なかった。 恒子の代わりにと、瑠衣が、久幸と共に出かけた。 瑠衣は、出掛けたついでにと、久しく会えなかった叔母の所へ 寄ったからと、久幸だけが帰って来た。 帰って来た久幸は「恵奈、お風呂に入ったら、私の部屋に来なさい」と言う。 「はい?」一体なんだろうと思いながら、言われた通りに 風呂を済ませて、母屋の久幸の部屋に行く。 コンコンと、ノックをすると「入りなさい」と、言われて入る。 久幸は、ガウンを着てワインを飲んでいたが「ここへ」と ベットの近くへ呼び、いきなり、恵奈を、ベットに押し倒した。 「だ、旦那様、、」抗う暇も無く、下着を剥ぎ取られ ガウンを脱ぎ捨てた、久幸は、裸の体を重ねて来た。 「だ、駄目です、止めて下さいっ」だが、そんな言葉は、通じなかった。 「静かにしなさい」と言う、凄みの有る男の声と、力で、ねじ伏せられ 何も知らない、恵奈の体に、久幸の物が、無理やり押し込まれた。 恐怖と痛さで、涙が零れる、そんな恵奈に 「この事は、誰にも言うんじゃ無いぞ、言わなければ、誰にも分からない」 久幸は、それだけ言って、恵奈を部屋から追い出した。 下着だけ付けて、脱がされた服を持ち 恵奈は、泣きながら自分の部屋に帰った。 久幸に言われなくても、こんな事は、誰にも言えないと、思う。 優しい瑠衣様が知ったら、どんなに悲しむだろうか。 奥様が知ったら、、、この家の中が、滅茶苦茶になりそうだと、思う。 そうだ、久幸が言う様に、誰にも言わなければ良いんだ。 これ位の痛み、我慢できる、恵奈は、そう思った。 法事が終わったら、海外へ行くとばかり思っていたのに 久幸は、日本の本社で、仕事を片付ける迄、暫く日本に居るが 食事も何も、要らないから、構わなくて良いと、瑠衣に言ったらしい。 恵奈は、あの恐ろしい行為は、一回で、終わったと思っていたが 久幸は、その四日後、お得意様に、届け物をするから、その荷物持ちにと 恵奈に、お供を言い付ける、恵奈は、断ろうとしたが 「ごめんね、恵奈、お願い」と、瑠衣に言われて、渋々お供をする。 だが、それは口実で、恵奈は、ホテルに連れ込まれ また久幸から、犯されてしまった。 「もう、こんな事は、止めて下さい」恵奈は、泣きながら訴えたが 「泣くほどの物じゃ無いだろ?」と、言われる。 「奥様に、、」と言いかけると「黙っていれば、分らない」と、久幸は嘯く。
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