公然わいせつ罪

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 井浦は細い暗い廊下の奥、カーテンの明かりが漏れるリビングの方向を黒い革靴で爪先立ちして覗いた。女がその視線を遮る。 「不法侵入で県警に凸電するわよ!」 「きゃんきゃんウルセェな!」 「あんたも大概、うるさいわよ!」 「チワワみたいな顔しやがって、その早口言葉みたいなテメェの名前、何とかしろ!」 「そんなの私の爺さまに言いなさいよ!」 「爺さん!」 「そうよ、爺さまが名付け親よ!」 「名付けジジィか、妖怪みたいだな!」 「黙れ!」 佐々木 咲(ささきさき)(29歳) 北陸交通タクシー配車センター勤務 色白で丸顔、髪は漆黒、小さな耳がチラリと覗く顎までの長さのワンレングス、襟足は短く刈り上げられている。 丸いカーブを描いた眉、二重で黒目がちなつぶらな瞳、鼻筋はやや低く、口元はぽってりとふくよか。 健康的な中肉中背、女性的なライン、特に胸は豊かだ。
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