8.

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 悠李はからだの向きを変え、宗佑とまっすぐに目を合わせた。そのまま静かに、宗佑に顔を近づける。  二つの唇が重なる。一瞬で硬直した全身に、かぁっと熱いものがほとばしる。  宗佑は目を見開く。ゆっくりと宗佑から離れた悠李は、恍惚とした表情で宗佑を見、恥じらうように小さく笑った。 「受け取って。俺が本気だっていう証」  ポン、と頭を撫でられる。幼い頃、父に褒めてもらった時のことを思い出す。  あったかい。もう何年も感じていなかった、忘れていたぬくもりを取り戻していく。嬉しくて、言葉がうまく出てこない。 「……箸、そっち」  照れ隠しに指示を出す。悠李はなぜか満足そうに「ここね」と言って引き出しを開けた。宗佑は別の場所からポン酢のボトルを取り、テーブルにつく。  二人揃って「いただきます」と言い、悠李は味噌汁で箸を濡らしてから、ハンバーグにポン酢をかけた。  ごはんの茶碗を受け皿代わりにして、箸で器用に一口サイズに切り分けたハンバーグを口に運ぶ。悠李はすぐに両眉を跳ね上げ「んー!」と唸(うな)り、箸を握ったままサムズアップした。 「おいしい!」 「そう。よかった」  ホッとして、宗佑もようやく箸を取る。  嬉しそうに、本当においしそうに食べてくれる悠李を横目に見ながら進める食事は、いつもの何倍も、何十倍もおいしく感じられた。
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