世話焼きさんは放っておけない

９．

　悠李が宗佑のシャツのボタンを開けた。露わになった鎖骨に悠李はうっとりと目を細め、指でなぞる。浮き出た骨にキスをされ、首筋のほうへと順に口づけられていく。
　背筋が粟立つ。ゾクゾクした。悪くない、むしろ心地いいとさえ思える刺激に全身が徐々に侵される。
「宗佑」
　耳もとでささやかれ、ワイシャツとアンダーシャツを脱がされる。悠李の指が、宗佑の乳首をそっとつまんだ。
「ぃ、あ……っ」
　ぞわぞわっ、とからだじゅうの毛が逆立った。宗佑はとっさに悠李のからだを押し戻す。
「バカ、やめろ……！」
「なんで。気持ちいいんじゃないの？」
　意地悪な笑みと、乳首をくりくりとつまむ指の動きが腹立たしい。悠李の指摘どおり、彼の行為を気持ちいいと感じてしまっている自分にも苛立ちを覚える。
　くそ。なんで男相手に……！
　背中が仰(の)け反る。下半身が正直に疼く。男と寝るのもはじめてならば、抱かれるのもはじめてのことで、こんなにも素直に興奮してしまう自分が自分じゃないように思えてくる。
「間違ってないよ、宗佑」
　悠李が優しいキスをした。大丈夫、怖がることなんてなにもないと、そう教えてくれているようなあたたかい交わり。
　鎖骨から、乳首へ。悠李の唇が、ゆっくり、じっくり、宗佑のからだを愛撫していく。
　乳首に吸いつかれると声が出た。どうしてもひどく感じてしまう。弱いらしい。
　ちゅぱ、と悠李の口がイヤらしく音を立てるたびに、気持ちがどんどん高まっていく。頭ではやめてほしいと思っているはずなのに、からだは正直に求めてしまう。感情が制御不能になる。
　しつこいくらい乳首にキスをくり返したのち、悠李は宗佑のズボンと下着、靴下まで剥ぎ取った。パンパンに膨らんだ先から、半透明の蜜が滴る。
　悠李は迷わず蜜をなめ取り、ぱく、と宗佑のものを口に咥えた。
　宗佑が喘ぐ。くちゅくちゅと口の中で動かされ、逃げるように、仰向けだったからだを横向きに変えた。
「やめ……、川上、さん……っ」
「じっとしててよ」
「だって、あんた……！」
　逃げ出したいんじゃない。気持ちよすぎて、からだの震えが止まらない。
　枕にしがみつく。悠李の口が動くたびに、とてつもない快感が全身を駆け巡る。
　ダメだ。気持ちいい。際限なく高ぶり、湧き上がる感情の玉が弾ける。
　悠李の口の動きが速くなる。宗佑の呼吸が弾む。
　あぁ、もう、無理……！
　熱いものがほとばしり、腰を震わせ、悠李の口の中で果てた。