2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「ねぇ、先生。見て、あの子たち」
「あぁ、ちーちゃんとまーくんでしょ?」
「あの子たちのおままごと、随分リアルじゃないですか?」
「そうなの。いつもあの調子なんですよ」
「なんか、家庭の事情が分かってしまうような……」
「いや、そうでもないんですよ。あれは、ちーちゃんが自分で脚本書いてるんですよ」
「え、親の姿を見て真似してるんじゃなくて?」
「ふふふ。そう思うでしょ?でも、ちーちゃんの家はオシドリ夫婦で近所でも有名なんですよ」
「そうなんですね。それにしても、お相手の男の子も演技が上手ですね」
「まーくんの家は共働きだから、お迎えが遅いのよ。だから付き合いで、いつも一緒に遊んでいるんですよ」
「それでですか。演技が迫真に迫っているというか……」
「初めて見る方はみんな驚きますよね。ただ、今日のアドリブはちょっと過激でしたねぇ」
「あ、浮気相手を殺したとか言っていたあれですね。あれはアドリブなんですか」
「そうなんですよ。途中までは脚本通りなんですけどね。毎回途中から違う展開をアドリブで演じてるんですよ」
「は、はぁ。今時の幼稚園児の遊びはすごいですね」
「そうですね。あっ!ちーちゃんのご両親が見えられましたよ。ほら、今日も夫婦一緒に手を繋いで。仲良しでしょ?」
了
最初のコメントを投稿しよう!