風の大陸イズガルド

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 炎天下の日差し。  乾燥した空気。  手持ちには何もなかった。  クプの実を小袋いっぱいに詰めて持ってきたけど、もうすぐ無くなってしまう。  道なき道をひたすら歩いた。  道中には魔物もいる。  お腹を空かせたカーバンクルだって。  ハァ…ハァ…  歩いても歩いても、一向にたどり着く気配はなかった。  馬車で半日はかかる距離。  歩くってなると、最低でも1日はかかる。  僕の住んでいる村、フォレストバンクは、星が綺麗な村で有名だった。  雨季になるとバルハーメイ高原の動物たちが南の地方からやって来て、豊かな草原と湿地の上に、ウーやドリールカが埋め尽くす。  東に広がるベルリウロス湿原に、ヴサーエ大山脈。  西にはホムンクルス台地があり、その峠を越えれば、オーボゴ大峡谷の真っ赤な断層が、広い大地の下に姿を現す。  ボトロチナの市場に、ラスーヒの大図書館。  そして、ヘスの滝。  村の人たちはみんな優しかった。  よそ者の僕を快く迎え入れてくれて、いつだって家族のように接してくれた。  同い年のポコは、僕の大親友だった。  彼はアルテメリアに連れて行かれた。  アルテメリアの工業区にある手工業製作所(エルガステリオン)に、奴隷として働くことになったからだ。  半年前のことだった。
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