2:ホスト‪α‬

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2:ホスト‪α‬

 いつも通り同伴をしてゲームセンターで時間を潰して店に()を連れて行く。  席についてキープの酒をだして作り、話し相手をしながらボトルをお強請りする。  気を良くした姫は10万円のシャンパンを選びコールが始まり更に気分を上げてあげる。  金を落としてくれる代わりに素敵な夢を見せてあげる。それが彼の仕事だ。  時にはアフターをして身体を重ねる事だってある。  相手がΩなら相性は最高だ。  だけど、その分のめり込む子も多い。  相手に夢を見せながら夢を見てもらったまま彼女達は金を作って落としてを繰り返す。  彼はそうやって生活を送っている。  だけど、今までのお客さんの中で彼の心を本気で射止めた人はいない。 「·····別に」  あの時見た死にかけの少年以外。 「ねぇ」 「···あ」  買い物がてら行きつけの店に行く為に街を歩けばその少年を見つけた。  相変わらず死にかけの魚のような目をして何を考えているのか分からない人形の様な表情をしている。  ホスト····昊が少年に話をかければあからさまに怪訝そうな顔をした。 「この間の子だよね。まだ、死にそうな顔のままだけどどしたの?」 「···元からこんな顔なんで気にしないでください」    生まれつきそんな顔ならどんな子供時代を送ったんだとツッコミをいれたくなる。  しかし、どうもこの間よりも具合が悪そうだ。心做しか甘い香りを感じる。 「····何で首輪つけてねぇの?」  この香りはΩのヒートの香りだと直ぐにわかった。 「·····え?」  少年は思わず目を見開いた。  目の前のこのホストは自分がΩだと何故わかったのだろうか。  ヒートが来たとしてももう誰もフェロモンを感じ取る事なんて出来ない。 「····っ!?」  ホストはバッと鼻と口を自らの袖で覆い、彼の腕を引っ張り走りだす。 「っおい!何すんだよ!?」 「おま···何で薬飲んでねぇんだよ!?」  飲んだ。  いつも飲む抑制剤はしっかり飲んだ。  それなのに効いてないなんてそんな事今までなかった。  それよりもだ。  何で匂いを感じているんだ。 「あぁ゛ー!もぅダメだ!!」  責任取れとホストは彼を連れてある場所へと連れて行った。  
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