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「最初はあんまり過激なポーズはやめろよ」 「分かった。じゃあ四つん這いになって頭下げてお尻高くして」 「最初は過激なのやめろって言ったじゃん!」 「うん、分かってるよ」  目を瞬かせ首を傾ける。この後どんなポーズさせる気だよ……。  仕方がないから言われた通りのポーズを取る。色んな角度からシャッター音が聞こえて居心地が悪い。  七瀬の要求通りの姿勢を何度も取り、写真をひたすら撮られた。 「ねぇ、日向は何でずっと無表情なの?」 「え? こんな恥ずかしい姿で笑えってのか? 無理に決まってるだろ」  今なんて仰向けになってこちらにカメラを向ける七瀬の腰に跨って足を広げているんだ。笑えるわけがない。泣きたい。 「は? 僕たちの好きな受けは、恥ずかしい格好させて笑うようなビッチじゃないでしょ。もっと恥ずかしがって受けっぽい顔してよ」 「俺がそんな顔出来るわけないだろ! 俺に受け要素なんてない。七瀬がやれよ、俺が撮るから。サラツヤ黒髪眼鏡美人は受けだろ!」 「何言ってるの? 日向なんてどっからどう見ても受けじゃん。茶髪で顔の可愛い童顔なんだから」 「俺より七瀬が受け!」 「それはない。日向の方が受け!」  七瀬と睨み合う。  ナナさんは完全解釈一致だと思っていたが、それは今の推しカプだけなのかもしれない。今までのカプ遍歴とかも知らないし。  七瀬に跨ったままだということに気付く。俺が傍に座り直すと、七瀬が起き上がった。 「七瀬、このままだと俺たち戦争になるぞ」 「この際、徹底的に戦おう! 2ヶ月後のイベントには絶対に響かせたくないから、期限は今週の日曜日。6日で僕は『僕×日向』を描く。日向は『日向×僕』を書く。それで白黒決着をつけよう!」 「分かった。絶対に七瀬の方が受けだって認めさせてやるからな!」  打ち上げはアイスを食べて終わり。すぐに家に帰って話を書き始めた。俺より絶対に七瀬が受けだって認めさせるために。  
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