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 帰宅しても頭の中は七瀬のことばかり。 「あーもー、やめやめ! 推しカプ摂取して忘れよ!」  投稿サイトで推しカプを検索して読み漁った。  いつも通り時間がいつの間にか過ぎている。でも身も心も健康になれるから、時間という対価を払ってでも補給しなければ!  この1週間どうかしていて忘れていた。イベントで書いた話がシリアスだったから、ペーパー用にコミカルな話を書いていた事を。  初イベントで準備不足だった。書いたにも関わらず、ペーパーを印刷する事を忘れていた。後でSNSにアップしようと思っていたのに。  投稿できたのを確認してベッドに入る。明日も大学だ。早く寝なければ。  アラームの音で目覚めて止めると、いつもよりメッセージの通知が多い。  天気予報以外は全部七瀬。 『絶対に許さない』 『何で昨日教えてくれなかったの?』 『僕がヒナさんファンだって知っているのに』 『ヒナさんの作品はアップされたらすぐに見たい』 『朝起きて読んだ僕の気持ち分かる?』 『寝る前に読みたかった』 『絶対に許さない!』  俺の推しキャラがジト目を向けているスタンプが連投されていた。 「こわっ! 昨日のは何かの間違いだわ。好きな相手にこんなメッセージ送らないよな」  帰宅してからアップする事を思い出したから、会った時に言えるわけもないけど、謝っておいた方が丸く収まる。  顔を引きつらせながら、次アップする時は教えるから許して、とメッセージを送った。
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