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「でさ、俺は推理したんだよ。良い老夫婦もいじわるな老夫婦も、はじめは性格にも大差は無かったんだ。でも長年隣同士で暮らすうちに、段々とその生活レベルにギャップが生まれてしまったんだ」
坂田は、俺の反応の有無なんて気にせずに話を続ける。
「あのなあ、同じような生活サイクルを繰り返してんのに、なぜかいつの間にか相手の方がゆとりのある暮らしをしていたら、俺たちが想像する以上に落ち込むと思うんだよ」
ふんふん。あ、誤字った。でも、もう少しで書き終わりそうだ。
「だってさ、いじわるな老夫婦も日々食いつなぐために必死こいて生きてたわけだろ? なのに良い老夫婦の方にだけ、金銀財宝をくれるねずみや犬がほいほい現われて、あっという間に大金持ちになりました。みたいになったら超腹立つと思わね?」
坂田は急に俺に問いかけてきた。
「お、おう。まあ確かに、そうかもな。あ、でも犬とねずみは同じ話じゃないだろ。だからほいほい出てきたって訳じゃないだろ」
俺は何とかレポートを書き終えたので、坂田の方へ向き直る。
「まあそんな細かいところは気にすんなって。でさ、良い老夫婦もあんなに沢山のお宝ゲットしたんなら、いくらかお隣さんに分けてくれたって良いじゃん?」
俺には、どうにも坂田の話のオチが見えてこない。
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