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次の日に、鴛鴦は扉から訪ねてきた。
「ありがとうございました。おかげさまで解決しました」
鴛鴦はゆらゆらと、体を揺らしながら頭を下げた。
「いえいえ、自分は何もしておりませんよ」
「いえいえ、あなたのおかげです」
「いえいえ。自分は本当に何もしていないですから。私は何もしていない、そうですね」
「そう言われると、そうかもしれないです」
「そうです」
「分かりました。それでは妻を待たせていますので。私はこれにて失礼します」
「そうですね。野良猫に食べられては大変ですからね」
「それは大変だ!!」
鴛鴦は急いで、しかしバランスが取れない身体を必死に揺らして、ひょこひょこと入ってきた扉から歩いて去っていった。
私は出ていくのを確認すると、扉を閉めた。
あのうるさい鴛鴦が訪ねてくることは、もう二度とない。
了
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