鴛鴦の憂鬱

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 しばらくすると、鴛鴦がまた窓から訪ねてきた。 「コウノトリから話は聞けたのですか?」 「『ペアを変える意味が分からない』と言われました」 「それはそうですね」 「シーズンが変わると、どの雌だったか分からなくなるのです」 「それは困りましたね」 「あと子どもは運ばないらしいです」 「おや、そうなのですか」 「それはシュバシコウ、らしいです」 「シュバシコウ」 「はい、シュバシコウ!」 「シュバシコウですか。そうなんですね」 「次はどうすればいいですか!」 「ここにはそういった鳥の皆様の登録がありません」と断るが、 「いいじゃないですか。いいじゃないですか」と聞かない。 「『屋烏(おくう)()(あい)』という言葉があるそうですよ」 「どのような意味ですか?」 「好きな相手の家の屋根にとまる(からす)にまで愛情が湧くことから、愛情が深いことを表す言葉ですよ」 「素敵ですね!」 「そうですね」 「では烏さんに聞いてきます!」 「そうですね」 「烏さんは賢いですし!」 「賢いですよね」 そう言って鴛鴦は窓から去っていった。 「……」   窓は開けたままにしておいた。 
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