0人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくすると、鴛鴦がまた窓から訪ねてきた。
「コウノトリから話は聞けたのですか?」
「『ペアを変える意味が分からない』と言われました」
「それはそうですね」
「シーズンが変わると、どの雌だったか分からなくなるのです」
「それは困りましたね」
「あと子どもは運ばないらしいです」
「おや、そうなのですか」
「それはシュバシコウ、らしいです」
「シュバシコウ」
「はい、シュバシコウ!」
「シュバシコウですか。そうなんですね」
「次はどうすればいいですか!」
「ここにはそういった鳥の皆様の登録がありません」と断るが、
「いいじゃないですか。いいじゃないですか」と聞かない。
「『屋烏之愛』という言葉があるそうですよ」
「どのような意味ですか?」
「好きな相手の家の屋根にとまる烏にまで愛情が湧くことから、愛情が深いことを表す言葉ですよ」
「素敵ですね!」
「そうですね」
「では烏さんに聞いてきます!」
「そうですね」
「烏さんは賢いですし!」
「賢いですよね」 そう言って鴛鴦は窓から去っていった。
「……」
窓は開けたままにしておいた。
最初のコメントを投稿しよう!