再生

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けれど僕のほうも、洋子のことに神経を使う余裕はなかった。 ここ最近、会社を何人も辞めたせいで、仕事量が数倍増えた。 そのせいで毎日、残業続きだったのだ。 もともと仕事は嫌いじゃないし、がんばればがんばるほど「ありがとう」と上司に感謝される。 それが自分を都合よく動かすための言葉だったとしても、叱責されたり、暇を持て余すよりはよほどいい。 それにだ。 さっさと家に帰って、物に溢れたあの空間に足を踏み入れるも気が重い。 だからちょうどよかった。 彼女は彼女の生活。 自分は自分の生活。 それでいいじゃないか。 そんな時、この浮かれた生活にピリオドを打つ事件が起こった。 会社が倒産したのだ。 不況により、何年も赤字続きだったらしい。 従業員たちがつぎつぎ辞めていったのも、今考えればそれが原因だったのだろう。 しかし、たった1か月前に知らされるなんて。 どうして、なぜ。 自分の居場所がなくなった。
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