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今年から
今まで毎年、日本で開催されてた『高校生料理コンテスト』。
今年からは世界中の国から学生を集めて、フランスで開催される事に決まった。
夏休みも間近の高校3年生の1学期。
料理部部長である僕、山村凌(やまむら りょう)は、顧問の冴島透子(さえじま とうこ)先生からコンテストの詳細を聞かされていた。
「…と言う訳で、3年生の部員達にとっては引退前の最後の集大成。必ず参加してもらいます。目標は優勝。それ以外、無いと思いなさい」
冴島先生の凛とした声が、暑い部室内に響き渡った。
冴島先生は美人だけど、厳しい性格で有名だった。
僕が部長になった今年から顧問になった先生だけど、僕は何度も叱られてる。
でも、料理コンテストかぁ。
楽しみだなぁ。
僕は他の部員の人達と冴島先生が配ってくれた、日程の詳細などを書かれた栞に目を通していた。
「質問が無ければ、今日の部活はここまでにします。皆、各自用意して当日は遅刻することの無いように!以上、解散!」
冴島先生の声を合図に部活が終わった。
僕は他の部員の人達と挨拶を交わしながら荷物をまとめて、体育館裏に急いだ。
僕が体育館裏に行くのには訳がある。
僕の後輩の千夜保(せんや たもつ)と鈴木航(すずき わたる)くんが、野良犬達に餌をあげて待っているからだ。
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