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ううん、正確には餌をあげているのは鈴木くんだけ。
保は、いつも彼女さんが校門前まで車で迎えに来るんだけど、それまで体育館に寄り掛かるように煙草を吸って待ってるんだ。
女の子と付き合った事が無い僕にとって、保は僕の憧れだった。
毎日、保に嫉妬したら良いのか、女の人に嫉妬したら良いのか、よくわかんなくなる。
「保ー♡鈴木くーん!お待たせー!部活、終わったよう」
「山村先輩、お疲れ様です」
犬を撫でていた鈴木くんが笑顔で僕に言ってくれる。
鈴木くんは、いつも優しい。
「俺が待ってるのは、依澄(いずみ)だけだ。あんたの事は待ってない」
煙草を吸いながら保が言う。
「ひどい!保!」
「千夜くん!山村先輩だって、僕達の仲間なんですから!」
いつも素っ気ない様子の保に、鈴木くんは僕の味方をしてくれる。
でも…。
素っ気なくされればされる程、僕の中でこの人を振り向かせたい!って気持ちが強くなるんだ。
僕が2年生の頃、途中まで一緒に料理部に入っていたのは保の方。
鈴木くんは部活に入っていないみたいだけど、保と確か同じクラスで仲良しだから、僕とも仲良くなった。
保は鈴木くんや僕が文句を言っても無視して煙草を吸っている。
そうだ!
「保ー、鈴木くん。今年から料理コンテストはフランスで開かれる事になったみたいだよう」
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