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「山村先輩の仰る通りです!…ああ、でも、僕はどうすれば良いのか…。山村先輩に優勝して欲しい様な、して欲しくない様な…」
何か、鈴木くん頭を抱えてるけど大丈夫なのかなぁ?
1人で何かぶつぶつ言ってる鈴木くんをよそに保が栞を僕から取って見ながら言う。
「洋菓子屋アナスタシアの近くじゃねーか。打ち上げは、ここですることに決定だな」
そこまで言って保は考え込んだ。
「未成年者だけで海外に渡るのは面倒だから田中を連れて行くか」
「タナカ…さん?」
「俺の親戚の叔父みたいなもんだ。自由時間は…結構あるな。アナスタシアは外からケーキを作ってる様子を見れるのが良いんだよな」
「日本でも有名なお店ですからね」
鈴木くん、立ち直った。
良かった。
保にとっては、会場もホテルも、あなすたしあってお店の近くだったのが良かったみたい。
後は保達3人が僕と同じホテルに泊まれれば良いんだけど、タナカさんっておじさんが予約を入れてくれるかな。
まだ空きがあれば良いんだけど…。
その時、校門の方からブブー!って音がした。
車のクラクションだ。
「依澄、来たみてーだな。帰るぞ」
保が僕に栞を返しながら、煙草の火を消すと鞄を担いだ。
「当日は弟に犬達の食事をあげに行かせます」
そう言って、鈴木くんも犬の頭を撫でてから鞄を持った。
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