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校門まで3人で並んで歩く。
「ま、せいぜい頑張れよ」
校門前まで来たところで、保は僕にそう言うと、イズミさんの車に乗って行った。
保に応援されるなんて、嬉しいなぁ。
後には僕と鈴木くんが残った。
「僕も山村先輩には頑張ってもらいたいです。…で、でも、キスは…」
「鈴木くん、大丈夫だよう。僕、保にキスされるの好きだもん!僕のファーストキスは、保か佐藤先輩か可愛い女の子が良かったんだー」
佐藤先輩とは、もうアメリカに行っちゃったけど、僕の1つ上の料理部の先輩だった。
名前は、佐藤吾作(さとう ごさく)さんっていうんだ。
保も鈴木くんも格好良いけど、佐藤先輩も格好良くて、僕は憧れていた。
「そ、そうですか…」
佐藤先輩って僕が言った時、鈴木くんの表情が一瞬強張ったけど、僕は気付かなかった。
「問題は言葉だよねー。僕、フランス語、話せないもん」
「あ、僕は話せます」
「ホント?!」
僕は思わず鈴木くんの顔を見上げた。
「はい。…でも、僕が居なくても、日本語を話せる現地の人達も最近、多いですし」
鈴木くんは眼鏡のツルを上げながら続けた。
「山村先輩は学園の引率で行くから、自由時間以外は心配しなくても大丈夫だと思いますよ?」
そう会話しながら2人で歩いて行くと、別れ道にまで来た。
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