10人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
鈴木くんのお陰で安心した僕は、不意に別れ際、ピンときた。
「僕ん家でフランス語、教えてくれる?!」
「えっ?でも、さっき大丈夫だと言いましたが…」
「だって卒業したら、保はフランスに行くんでしょ?今からフランス語が話せた方が良いじゃん!」
「でも、千夜くんはまだパティシエになりたいと親御さんに話せていないみたいですよ?」
保だったら堂々と話せそうな感じがするから何か意外だ。
「親御さんは、千夜くんに自分の跡を継いで欲しいそうです」
鈴木くんが補足する。
僕は保のお父さんお母さんには会ったこと無いけど、随分と解らずやなんだなぁ。
「保の家って何屋さん?」
「えっ?!…えーと…お蕎麦屋さんです」
この辺にお蕎麦屋さんなんかあったかなぁ?
「どれくらい続いているのー?」
「さ、3代目です」
「じゃあ、結構長く続いてるんだねー」
それじゃあ、保はパティシエになれないのかもしれないのかぁ…。
僕は何だか哀しくなった。
鈴木くんが優しく言う。
「千夜くんのお家の問題は、山村先輩の責任じゃありませんから。それに、グループ通話でフランス語の基礎を教える事なら出来ます」
僕と保は連絡先を交換してないけど、鈴木くんと交換してるなら3人で話せるから不思議だよね。
最初のコメントを投稿しよう!