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「父上、母上。そこはわたしに任せて欲しいな」
息子のミカエルが後ろから声をかけてきた。
「なによ。あなた、一度仕損じてるでしょ?」
「そ、それはッ。グレンが邪魔したからだ。アイツさえいなければ! それにウィリアムはわたしに惚れてたんだぞ!」
「ミカエル。それは本当なの?」
サーシャが疑り深く問い詰めてきた。
「ああ。本当だとも! いつもわたしの事を頬を染めて見つめていたんだ」
「まぁ、あの子は男の人が好きだったのかしらね?だからグレンもついていったのかしら?」
「いや、偵察の様子じゃ主従関係のままのようだ。恋愛関係ではないらしいぞ。まあどちらでもよいのだがな。金さえ手に入ればいいのだ! ぐはは」
「そうね!お金さえ入ればもっと贅沢な暮らしができるし。ふふふ。やっぱり赤いドレスに着替えてくるわ。今日は王都から使いが来るでしょうに。私たちが貴族だとふさわしい格好をしなければ」
「そろそろでかけるんだぞ! 急げよ!」
「母上はまたドレスを新調したようですよ。いくらなんでも買いすぎだ」
「まあそれも遺産が入れば問題なかろう」
「それもそうですが。しかし返す返すも、もったいない事をした。まだガキだったからわたしも躊躇して手を出すのが遅くなったが、もっと早くに手を出していたら今頃はウィリアムを傀儡に出来ていただろうに」
「まったくだ。惜しいことをしたな。だが確かにウィリアムは年々綺麗になっていく。男にしておくにはもったいないぐらいだ。……ぐふふ」
「父上! アレはわたしのだ。いくら何でも年齢を考えてくれ。そうだ! わたしの伴侶にすればいい!」
「はあ? 伴侶? いくら同性婚が認められてるからと言えど、お前は跡取りだぞ!」
「なあに。側室を別に娶ればいいのでは?クク。形だけ伴侶にすれば財産も全部こちらのものになる!」
「おおっ。それはいいな。くくく」
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