5義父母たち

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 辺境地は屋敷からほとんど出たこともなかったウィリアムに領地経営なぞ無理だとわかってて押し付けた場所だった。たいした資産にもならない。維持費も大変だし、機会があればいつでも王都に相談して返還するつもりだった場所だったのだ。 「あんな領地がなくてもウィリアムの遺産があれば楽して暮らせるはずだ。王宮が管理しないといけないほどの遺産なのだ。総額はいったいいくらあるのだろう。きっと途方もない金額に違いない。そう思うと顔が緩んで仕方がないわい。ぐふふ。すぐに泣きづらかいて帰ってくるだろうよ。そうすれば今度こそこちらのいう事を聞くだろう」モンターギュはそう思ってウィリアムが戻ってくるのを待っていた。  しかし予想に反してウィリアムは毎年それ相応な収益をあげてきたのだ。一体何をどうすればこんな数字がでてくるのだろう? 絶対何か数字を操作にしてるに違いない。モンターギュはそう思って調べさせるが、なんと土地が徐々に肥えてきているという結果だった。作物の収穫量も増えてきているようだった。 「そんなことならばもうその土地はわしが取り上げてもかまうまい?元々わしの領地なのだから有無を言わさず取り上げてしまえばいいよな?だいたい、この年まで育ててもらったのだから親代わりのわしに恩を感じて持ち金全部渡してしまうべきなのだ。どこの馬の骨ともわからない子供なのだからな」    本当は遠縁なのかどうかもわからない娘の子供だった。育てるかわりに高額な養育費がもらえると聞いて申請書を取り寄せ、適当に家系図を書いて王宮に提出した。それがあっさり受領されたのにはモンターギュ本人も驚いたが、なにか訳ありの子供だったのかもしれない。 「貴族のわしに育ててもらえてありがたいと思え。その代り、お前の金は全部わしのものだ」  ぐふふふとモンターギュは口の端をあげた。
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