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7あなたが欲しい
「……もしも、わたしが人間でなくてもその気持ちはかわりませんか?」
「やはりな。あれだけ全てがこなせるのだから、人ではあるまいと思っていた」
「……怖くはないのですか? 私を嫌いになりましたか?」
「どうしてお前を嫌いになるのだ?」
「だって人間ではないのですよ」
「やはり、精霊なのか?」
「はあ? えっと、その、種族は違いますが……まぁ似たようなモノです。……たぶん」
「たとえグレンが人であろうが獣であろうが、グレンはグレンだろう? 最初は驚くだろうが、何故怖がったり嫌いにならなければいけないのだ?」
「あぁっ! もうっ! あなたって人は!」
(まいったぜ。どうしてくれようか。襲っちまうぞ)
「私はどこにもまいりません」
「本当に? グレン! ありがとう!」
そういうとウィリアムはグレンに抱きついた。
「なっ? さっきから貴方はわたしの忍耐を試すようなことをっ!」
「嬉しいのだ。悩んでいたのが僕だけでないと分かって安心した」
「安心した?」
「ああそうだ。好きだと伝えたらお前の能力をあてにして言われてると思われないかと、そう思うと言えなかったのだ。改めて言う。グレン。ずっと僕の傍にいてくれないか?」
「まったくっ! 貴方は何度わたしに同じことを言わせるのですか! わたしはいつでも貴方の傍におります。……ウィリアム様の事が好きです。貴方が思うよりもずっと」
「グレン! 大好きだ!」
ウィリアムはグレンに更に身体を寄せてぎゅうっと抱きついた。
「……くっそ。可愛いぜ」
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