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◇◆◇
「今日でウィリアム様は成人されましたね?」
「そうだ。そして晴れてこの領地の本当の領主となれたのだ。グレンありがとう。お前のおかげなのだろう?」
「いえ、私はただ、あの狸どもの化けの皮を剝がしたかっただけです。事実しか王都には伝えておりません。元々この地はウィリアム様のおじいさまの領地だったのです。私は取り返すきっかけを作ったまで」
「そうだったのか。ありがとうグレン。お前にはいつも助けられてばかりだ。感謝の気持ちを表して何かお前にやりたい。欲しいものはないか?」
「……あります。なんでもよろしいのでしょうか?」
「ああ! もちろんだ! 僕に出来る事なら何でもいいぞ」
「私が欲しいのはウィリアム様。あなたです」
「……え? 僕?」
呆けた顔のウィリアムが可愛い。
「なんでもいいと今おっしゃいましたよね?」
「……本当に? 主に気を使っているのではないのか」
「しつこいですよ。あなたはこの期に及んで自分に自信がなさすぎますよ。私はもう何年も前からあなただけを見てきたというのに」
「嬉しい……グレン」
潤む目が見上げてきた。長いまつげが濡れ、瞳の中に映るのは俺の姿だ。
(ぐぅ。可愛すぎる)
「ウィリアム様。わたしを煽りまくった責任をとってくださいね」
「煽るとはどういう意味だ?」
「こういう意味です」
俺はウィリアムを横抱きに抱えるとそのまま寝室へと運んだ。
「わわわっ? グレン? そ、そのお前が欲しいのは僕の心? それとも……」
「全部です! 心も体も。わたしはお金には興味はありません。あるのはウィリアム様、ただ一人だけ。あなたはわたしの運命なのです」
「グレン……僕もグレンだけだ。僕の周りからは皆消えていく。でも何もなくてもいい。そのかわりグレンだけは離したくなかったんだ」
「可愛いことばかり言いすぎると私が暴走してしまいますよ」
ベットに静かにウィリアムを横たえると俺は片眉をあげた。
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