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「グレン! お前の姿が見えないとカイルが探していたぞ。何かあったのか?」
「いや。たいしたことはない。……旅の御仁の話相手になっていただけだ」
「そうか。此処に連れて来てくれれば茶ぐらい用意したのに」
「ああ。そうだったな。今度はそうする」
「グレン。領地の未来が見えてきたから今度は森の事を考えたいのだ」
「俺の仲間の事か?」
「お前の仲間は僕の仲間でもあるのだろう?」
「ふはは。そんな風に言うのは師匠とリアムぐらいだぜ。お前は本当に俺の師匠とにているぜ」
「そうか。やはりおじいさまも僕と同じだったのだな。それを聞いて僕の気持ちも決まった。前々から考えていたんだが、できれば僕は人とそうでない者の橋渡しになれたらと思っている」
「リアム。……その考えは甘いかもしれねえぞ」
森の仲間の中には未だに人間に対して敵対心を抱いてる者もいる。皆が俺やカイルのような人間に好意のある魔物じゃねえ。
「そうだな。でも僕にはグレンがいてくれる。そうであろう?」
まっすぐに俺を見つめる瞳には疑いなど何もない。俺の事を心底信じ切ってる純粋で透明感のある瞳だ。こいつの信頼を裏切る事は出来そうもない。
「まったく。お前にはかなわないな」
「ふふ。そう言うな。僕はお前ほど魅力的で男らしくて有能な執事を知らない。僕を助けてくれないか。……でも、二人だけの時は甘やかしてくれ」
「まいったな。ご主人様にはかなわないぜ」
「グレン。愛しているよ」
「俺もだ。愛している」
例え一生かかったとしても俺はお前の望みを叶えてやるよ。
だからいつまでも俺の傍で笑顔でいてくれ。
終わり
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