34人が本棚に入れています
本棚に追加
特に二つ年上の義兄のミカエルに夜這いをかけられた時は幻滅した。
「前からこの綺麗な肌に吸い付いてみたいと狙っていたんだ。お前だってわたしの事を嫌いじゃないんだろ? 身体から言う事をきかせてやろう」
確かに僕は兄に憧れていたし尊敬もしていた。
だがベットの上で押さえつけられもがく僕の前に襲い掛かってくるケダモノと化した男に悪寒が走った。ニヤつきながら僕の体をさわってくる。その手を払い、叫んだ。
「嫌だ! 助けてっ。だれかっ」
そのときバンっと扉を開けながら大声で叫んだのが執事のグレンだった。
「大変だ! 皆っ賊だぞ! 坊ちゃまの部屋に賊が押し入ったぞ!」
「なっ? ちっ違うぞ! わたしだ。ミカエルだ」
その声が聞こえてるはずなのに部屋の窓を全部あけて執事は大声で叫び続ける。
「大変だ〜。坊ちゃまの部屋に賊が押し入りました~っ」
「やっやめろ! やめてくれっ」
ミカエルは慌てて部屋から逃げて行った。その場をたくさんの使用人や衛兵たちに目撃されながら。
「坊ちゃま。怖かったでしょう? よく耐えましたね」
「あ……グレン。僕は……っ」
優しく背中を撫でられて涙腺が緩む。
「こんなことで泣いてはいけないのに……もっと僕は強くならないと」
「坊ちゃま。今日はいいんですよ。明日から一緒に闘いましょう」
「グレン。っ……ううっ……ありがと」
最初のコメントを投稿しよう!