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―――だってずっと見てたんだもの。
大学の頃からファンに追われるあなたを…。
わたしは、裏方で関係ないですって顔しながら。
心のどこかでわたしだけ見てって…思う自分もいて。
それを隠していたの。
彼女になったら独占欲は、もっと強くなって。
だけどそれを知られるのも怖かったんだ。
「深月には…俺以外の男は、もっといい奴がいるかもしれない。
けど俺は、俺には深月じゃないと無理だ」
「わたしだってだめだよ。……もし、あなたがあの日亡くなっていたら」
「亡くなっていたら?」
「…わたし、たぶん結婚しない人生を選んでいた」
忘れるなんてできないから。
忘れられないのに他の人と結婚とか考えられなかった。
「俺、責任重大だな」
「ふふっ。きっともうあんな奇跡起きないよね」
わたし達は笑い合い、明日婚約指輪を見に行こうと約束し、
深いまどろみの奥…眠りについたのだった。
後日前々から結婚したい話をしていた昴は、
事務所社長がわたしの知り合いであることもあり、
ようやく許可が下りてわたし達は結婚することになった。
わたし達の結婚を知ったユキが花嫁の父みたいに、
おいおい泣くのはまた別のお話。
完
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