つよがり

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我ながらすごい格好だと自覚はあった。 けどまさか彼が予定より早く帰ってくると思わない。 時間は、充分ある。 今のうちに準備を…って思っていた。 だって今日は彼の―――。 「…ッ…ん…すば、…」 キスの合間に切れ切れになる声…。 狭い洗面所での行為はやけに響く。 キスしながらシャツのボタンを外され、 フロントホックのブラから、丸く白いやわらかな胸が現われる。 「あっ…」 目の前に晒された尖端は、ほんの少しの寒さと。 触れられるのを期待して主張していた。 下へ下へと移動していく唇と指は体を滑り、触れていく。 たどり着いた先でじゅっ…と蜜が溢れるのを感じた。 「ね…。待って…」 気づかれてしまうのはあまりに恥ずかしい。 制止の声も聞かず、男は足の間に顔を近づけ、ん?と言う。 (気づかれた…。あぁ、もう…) 「こんな下着、持ってたか」 やはり聞かれた。 恥ずかしさに顔を横に振るしかできない…。 今日の下着は、いわゆるランジェリー。 品のない言い方をすれば、エロ下着になる。 といっても腰でリボン結びができる一見大人しいものだが。 恥ずかしいのはそこではなく股間が透けているところだった。 「ふーん…。珍しいな。どういう風の吹き回しだ」 「…や、ぁ!?」 脱がさず下着越しに刺激され、声が出てしまう。 「あ、やぁ…っ…」 洗面台の縁をもつ手が震え、つかまっていられない。 「ん、っ…あぁ、…だ、め…」 巧みに唇で挟んだり、口に含んだり、舌先で弄られ、 果てて体の力が抜けそうになったのを抱えられる。 「おっと」 もうキスで、下肢への愛撫だけで感覚は、グズグズになっていて。 残った羞恥心も砂みたいにきれいに消してしまう。 「どうした? 普段こんなの、着ないだろ」 「……」 「もしかして意趣返しだった?」 思わせぶりな手つき。 敏感なところを撫でられ、違うと呟くのがやっと。 「あ、そう」 素っ気ない声で言ったかと思えば抱えられ、ベッドに押し倒される。 「俺は普段見られない姿を見れてラッキーだけど」 そう言いながら平静を装って彼も限界だったのか、 無造作に服を脱ぎ捨て、さっと薄い膜を纏い、奥へ分け入ってくる。 「あっあっあっ…!っ…あぁ…ゃぁん…っ」 繋がった途端に零れ出す甘い声…。 セクシーな下着のせい? 気持ちよくてたまらない…。 動きが激しくなるごとに昴からもれる声にも感じて、 この人がほしくてたまらない。 独り占めは、決してできないのに…。
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