白い荒地から来た手紙

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「目が見えようが見えまいが僕は戦います。悪魔女キアラは恐ろしいけれど、それだけに放っておいたら、もっと恐ろしいことになる。軍隊はみんな帰ったけれど。誰かが戦わないと」 「わかった。そこまで覚悟ができているのなら、私と共にキアラと戦ってくれるか」 「はい! あなたは、もしや昔、キアラを封印した、大勇者カシン・エン様ではないでしょうか。目は見えなくともあなたからは、勇者の気が感じられます」 「そうだ。かつて国王とキアラを聖洞に封印したのは私だ。奴は私に復讐をしようと待っているのかもしれない」 「え? カシンさん……カシン・エンと言うのですか。『エン』というのは大勇者の称号。そんな人がお隣に住んでいたなんて。じゃあ、さっきの杖は大勇者しか持てない杖だったのですね。だから私には重すぎて持てなかったんだ」 目を丸くするローラン。 「カシン・エンというのは昔のことだ。今は、ただの老人だ」 笑って頭を掻くカシン。 「それで、これからどうするのですか。早くジョナとアナを迎えに行かないと」 北の方を指さす。 「うむ。まず、ここでナルの目を治す」 そう言うとカシンは、大勇者の杖を使って地面に円を描きその中に五芒星(ごぼうせい)を描いた。その図の前で杖を立てて呪文を唱える。 「おいで、ナル」 ナルを呼ぶと、円の中に入れた。しばらく呪文を唱えて、ナルのまぶたをなでる。 「白竜の子よ、聖なる光を自分の目に満たしなさい」 カシンに言われた通りにしているのだろう。ナルは、少し頭を上に向けて目をつぶっている。と、まぶたの隙間から光が漏れ出てきた。やがて、両目全体が光り輝き、石化した目は透明感を増し青い目になった。 「あ、見える、見えるよカシン・エン様、そしてあなたがローラン」 「ナル、綺麗な目だよ。ねえ、カシン……エン様?」 大勇者を前に、おそるおそる話しかける。 「ははは、いつも通りのカシンでいいよ。ローラン」 「は、はい、カシンさん」
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