白い荒地から来た手紙

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「さて、私とナルはこれから悪魔女キアラを退治しにいく。お前は、一刻も早くジョナとアナの所へいきなさい」 本当は、カシンについて行きたいローランだったが、ジョナとアナを連れ帰るのが本来の目的だと思いなおす。 「では、私は、馬車で北に向かいます!」 「良い返事だ。私もキアラを退治したらすぐにそちらに行く」 「わかりました。では、ご無事で!」 「うむ。お前もこれから先は、吹雪の荒地だ。気をつけて行け」 カシンは、ナルの方へ向きなおる。 白竜は、背中の羽をゆっくりと羽ばたかせた。大勇者の杖と荷物を持ったカシンがその背にまたがる。 「急げローラン。白い荒地へ」 そう言い残すと、ナルとカシンは空に舞い上がって行った。 ローランは、北に向かって馬車を走らせる。 次第に空気が冷たくなる。 雪も降って来た。 それはやがて吹雪になった。 途中、石になって死んでいる兵士や村人を多く見た。皆、苦悶(くもん)の顔で目を見開いて石化している。その数も北へ行けば行くほど増える一方だ。ジョナが手紙で書いていた恐ろしい所というのは、(まさ)にこのことだった。 吹雪の中ローランは、毛皮のコートにフードを目深(まぶか)にかぶりひたすら北へ向かう。 もはや白い闇のような雪嵐。 突如、目の前に木造の四角い建物が現れた。ドアの横には野戦病院と大きく書かれている。
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