白い荒地から来た手紙

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「やった! 着いた! ここだ」 馬車から飛び降りると、ドアを壊す勢いで開ける。 「こんにちは! 誰かいませんか?」 返事はない。 「誰もいないのですか?」 病院に足を踏み入れて叫ぶ。 「ジョナ! あなた! どこにいるの!」 病室のドアを手当たり次第に開ける。傷病兵の撤退は終わっているのか、どの部屋も、もぬけの殻。突き当りまで来ると上階に行く階段があった。数段飛ばしで二階へ。窓からぼんやりと光が漏れている部屋がある。祈る気持ちでドアを開けた。 人がいた。 驚いたようにこちらを向く痩せた看護婦。疲れ切った半開きの目で見返している。ローランにはすぐに分かった、 「アナ! アナだよね」 「え? ローランさん? まさか、そんな事って……奇跡だわ」 「正真正銘ローランよ。アナ、しっかりして。もう大丈夫だからね。ジョナは、ここにいるの?」 その問いに、ベッドに首を振るアナ。ローランはベッドに駆け寄る。 「ローラン。僕は大丈夫だ。恐ろしい所だと手紙に書いたのに、きてしまったんだね。でも嬉しいよ。ありがとう」 ジョナは力なく微笑み、ローランを抱きしめる。 よく見ると両足が石化していた。 「ジョナ! 生きてて良かったあ!」 抱き着いて、泣き叫びながら喜ぶローラン。 ズシーン! 轟音(ごうおん)とともに病院が大きく揺れる。窓の外を見ると、白い竜が横たわっている。ナルが病院に衝突したのだ。その横には、カシンが投げ出されていた。 「ナル! カシンさん!」 病院の外に飛び出して、カシンに駆け寄る。見ると右腕、右足が石化していた。 「おお、ローラン。私も老いたようだ。やられたよ。最期のお願いだ。酷な願いだが、若いお前がキアラを倒してほしい」 倒れたまま、カシンがローランの手を強く握った。氷よりも冷たく感じる。 ローランは、カシンの願いを拒否をすることなど、全く考えられなかった。 私が、キアラを倒します!
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