あなたとならば

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 ハルちゃんは、田村晴彦くんは、高校の時大好きだった元彼だ。  進学で私が東京に出た時に、遠距離恋愛するのすら辛くなるだろうなって離れちゃった人。  再会したのは二週間前のクリスマスイブイブ同窓会。  東京から帰省し、突然同窓会に参加した訳アリの私のことを、受け容れてくれて。  あれから二週間、東京には戻らずハルちゃんのお家で世話になっていたのだけれど……。 「あのねえ、ハル! 近くにいんのに正月も顔出さないし、一体なにやってんのさ」 「あけましておめでとう! 今年はお兄ちゃんからだけまだお年玉もらえてないんだけど」 「まあ、いいべ。元気そうだし。母さん、おかず作って持ってきたから食うべ。どうせ、ロクなもの食ってねんだべ?」  玄関から聞こえてくるにぎやかな声にドキドキする。  隣町に住んでいるハルちゃんの実家の面々、田村家の人たち。  第一声でハルちゃんが帰省しなかったことを心配しているのは、お母さんだろう。  それとお年玉をねだる妹ちゃんはまだ小学校六年生だったかな?  最後に聞こえた男の人の声はお父さんだろう。
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