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寝返りを打った瞬間に当たる温もりで目覚めた朝。
目に映る光景がいつもと少し違うことに、ホウっと大きなため息をつく。
ハルちゃんと同棲して二週間、初めての朝を迎えてしまった。
グッスリと眠るハルちゃんのまつげが長くてキレイで触れてみたら、くすぐったそうに眉をしかめて目を開けた。
「おはよ、ナツ」
私の顔をしばらく眺めてから、伸びてきた腕に絡めとられてガッシリと抱きすくめられる。
「ハルちゃん、起きないの?」
「起きない。ナツと永遠に寝てようと思う、日曜だし」
「じゃあ明日になったら起きる?」
「わかんね、仕事休むかも」
「仕事は休まない方いいよ?」
「したって、ナツと一緒にいてえもんなあ」
ハルちゃんに甘えっこな一面があること、知らなかったなあ。
私の肩に顔を埋めるハルちゃんがかわいくて、頭をよしよしと撫でてみたら、目をつぶったまま微笑んでいたのだけれど。
ハルちゃんが何かを感じ取ったように目を開けた。
「ダメだ、ナツ! 起きるど」
「え?」
突然布団を剥いで飛び起き、一人だけとっとと着替え始めるハルちゃんに驚いている時だった。
遠くから徐々に近づいてきた車のエンジンの音が家の前で止まる。
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