LonglongTimes

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1.蜜月まで8ケ月 街外れの野原は、襲撃から逃げて来た村人で溢れていた。 皆薄汚れた姿でうずくまり。 怪我人は呻きながら横たわっている。 その合間を、汚れたままの姿でピョンピョン飛び回る男の子 がいた。手には赤色の端切れを持っている。 そして、横たわる人に声を掛け。 時々、赤い布を持たせている。 剣を携え、皮の簡易防具を着けた2人組がやって来た。 どちらもすらりと背が高く、明るい髪の色に、瞳は緑色。 小柄で茶系の髪と瞳である横たわる人々とは、異なる 種族であることは明らかだ。 「これで全員か?」 「どうだろう? 状況を説明出来るの、誰かいるかなあ」 この難民のどこから手を付ければ?と。 面倒くさそうな2人の前に、飛び回っていた男の子が 駆け寄って来た。 「あのっ!ケガがひどい人は赤い布を持っているから。 急いで助けてあげて! 他の人は水と食べ物を分けて貰えたら、なんとか動けるよ。 どこかに避難させて。 今晩は雨が降るから、その前に。 どうかどうか、お願い! みんなを助けてください!」 必死の表情で訴えかける男の子は土埃で汚れていたが。 大きな瞳は澄んでいて利発そうだ。 「わかった。 オレは、この子の言う重傷者を運ぼう。 ユウヒはここで待機。 マヒルが到着したら、一緒に残りの人達を誘導して」
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