LonglongTimes

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「チビ、人数はもう増え無いか? 受入にも限界がある」 ぶっきらぼうな口調の男、ユウヒから見下ろされる。 男の子はちょっとむっとした。 が、助けて貰う立場だ。 文句を言ってる場合ではない。 「オレは村の全員知ってるよ。 逃げ切れたのは、これで全員。 後はあとは…もう動かない、から。 今は仕方ないんだ。でも。 後でみんなの骨を拾いに。 絶対戻る」 こぼれそうになった涙をぐっと我慢して。 男の子は顔を上げて言い切る。 ユウヒは、男の子のクセ毛をくしゃっと混ぜた。 汚れて固まった不潔な髪だったのに。 「適切な判断だ。 撤回する。チビじゃないな。 名前は何だ?」 「クリだよ。 避難が終わるまで、みんなを守って貰える? 諦めてない兵が追いかけてくるかも」 敵では無いとは言え。 武装した大人相手に踏ん張って交渉する姿に、 アサヒは好感を持った。 (くりくりお目目のクリちゃんかあ。 見た目そのままで覚えやすいなあ) 「大丈夫だよ。 もうこの周りには衛兵を配置したから。 ちゃんとしんがりを守るよ。 じゃあ俺は急ごう。 また後でね、クリちゃん」 アサヒは数人の兵士を集め、輸送の指示を進めた。 その様子に、やっとクリはほっとした表情になる。 ユウヒが口を開く。 「水と携帯食を配る。
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