青い薔薇の咲く場所で

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「ぅあ…ぅ!」 「何だどうした」 ここで捨てられるかと思いギルの服を掴めば手を離させられ、腕を掴まれ中へと入る。家具も何も無いただの小屋で、その中央には薪がありギルはそこに火をおこし始めた。 「少し待ってろ。ノックされても絶対開けるな」 そう言い剣を持って出て行き、俺はポツンと小屋の中に残された。俺は捨てられたのだと思い、部屋の隅で膝を抱える。 日が暮れかけた頃扉が開き、ギルが大きな肉塊を持って帰ってきた。隅に居る俺を一瞥したが特に何か言う訳でも無く、黙々と何かをしていてしばらくすれば良い香りがしてきた。 「来い」 そう言われ隣に行けばその肉塊はスープとなっていて、パンとごろっと肉と野菜のスープを渡された。いつも具のないほとんどお湯のようなスープばかりだったので、こんな色々入ったものは食べた事がない。 パンを一口サイズに千切って口へ運びしばらく噛んでから飲み込み、スープもふーふーと冷ましてから少し口へ含む。チラとギルを見ればパンを噛み千切っていて、スープも大口で含んでいる。 もちろん俺との減りは一目瞭然で、俺は必死に食べ進める。だがお腹も満たされてきて、再び睡魔に襲われ始めてしまう。 まだ食べかけだが食器を床に置き、そのまま眠りに落ちてしまった。
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