37人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「そこに座れこの阿呆」
ギルが剣を持ってユラと立ち上がると青年はすごい速さでベッドの傍で正座をしている。このやり取りだけでなんとなくこの二人が仲が良いように見えてモヤッとしてしまった。
モヤ?何で俺は二人が仲が良い事にモヤモヤしてしまうんだろう?ギルは俺と違って独りじゃないって分かってたはずなのに…楽しそうな青年と呆れた様子のギルを見ていれば涙がこぼれ落ちた。
「おいギルあのイケメン泣いてんぞ」
「泣かせたのはお前だろう阿呆。どうしたシキこいつの首はねようか?」
「物騒!!!」
「うぅぅぅう…」
涙が止まらなくて腕で拭っていれば手を退けられ涙を舐められる。青年はおろおろしながら俺達を見ていて、傍に来てスッと手を挙げられビクッとしてギルの胸に入る。
「こいつは大丈夫だ…大丈夫…ほら手伸ばして」
優しく撫でながら言われ、恐る恐る手を伸ばせばその手を握って満面の笑みを浮かべてくれる。でもこの人もギルがいない時はきっと俺を…
「で、いつまで居るつもりだ」
「ん?ふぉぉおおお!?わ、悪気は無かったんだ!えと、え?このイケメンがシキの嫁さんなの!?へぇ…あ、綺麗な目してる」
じっと目を見つめられ、恥ずかしくてギルの胸に顔を埋めればゴンと鈍い音がした。見れば涙目の青年が頭を抑えていて、ギルにバーカと吐き捨て部屋から出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!