青い薔薇の咲く場所で

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目を覚ませば見慣れない部屋で、起き上がってここがギルの部屋だと言う事を思い出した。それを思い出したと同時に、ギルと身体を交わらせた事も思い出してしまいモジモジと足を擦り合わせる。 「ぅ…ぁぅ…」 辺りを見回してもギルの姿は無く、俺に似つかわしくない可愛らしいネグリジェが着せられていて俺はその姿のまま部屋を出て裸足でギルの姿を探し歩いた。 ここにも使用人達が居るが、俺を見ても嫌な顔せずおはようございますと声をかけてくれた。俺は頭を下げるしか出来なかったが、一応皆に頭を下げそのまままた探し歩く。 青い薔薇も咲く中庭に出てみれば、ギルは他の人達と木製の剣で稽古をつけているようで、他の人達が疲れきって座り込んでいても頬を伝う汗を腕で拭ってふぅと息を吐いている。 輝いて見えてカッコ良くて、そのまま見惚れていればこちらに気付いて歩み寄ってきたが途中で歩みを止めてしまいふいと戻って行ってしまう。 嫌われたのかと思い俯いてしまい、目の奥が熱くなって泣くかと思ったが顎を掴まれギルは目を合わせてくる。 「いや、汗臭いからその…風呂に入ってからと」 少し照れながら視線をそらされ、俺はギルの匂いを嗅いでみた。確かに汗の臭いもするけれど、ギルの匂いだと思うとその匂いも好きな気がして擦り寄った。
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