青い薔薇の咲く場所で

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その後の食堂での宴の席では俺は隊長の隣の椅子に座って皆が愉しげに食事をしたり酒を飲み交わす中、目の前のステーキやデザートなど見た事も無いようなものが並んでいて俺はそれを見つめていた。 チラと隣を見れば隊長はジョッキで酒を飲みながら肉も食べていて、俺たちの周りだけ別の空間のように感じてしまう。 宴の為に呼ばれた踊り子のような女性達は踊ったり討伐隊メンバーに酒をついだりしていて、隊長の元にも来て酒を注ぐ時わざと胸元を見せているようにみえる。 その時一人の女性が俺と隊長の間に入り、俺を見下すような目で見て隊長に色目を使い始めた。俺は席を立ち部屋へと戻る為歩き始め、廊下で弟であるジルと出会った。 白銀の髪に美しく透き通った青い瞳で、俺よりまだ幼さの残る顔立ちをしてはいるが堂々として腰から剣を下げている。 「下民出身者の考えは僕には理解出来ないや。お前みたいな屑を欲しがるなんて…あ、剣の試し斬り用だったりして!あはははっ!はぁ…本当ありえない」 笑ったかと思えば冷たい目で見下すようにされ、通り過ぎて宴へ向かう足音が遠ざかるのを聞きながらその場に立ち尽くし俯く。 言い返す言葉が出ない俺は唇を噛んだが、また歩き始めた。自室へたどり着いて中へ入って閉めようとした瞬間、扉が掴まれ振り向けば隊長と目が合った。
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