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それからまた月日が経ち、俺の腹ははっきり膨らんでいて胎動を感じる程になっていた。相変わらずギルは俺の手の傷が治っても世話をしてくれて、ギルが討伐に出かけている時はアレックスが代わりに世話をしてくれる。
「ぁう…ぁ」
「どうした?」
「あ…ぅぁう」
ありがとうが言えない。もどかしくてアレックスの手にありがとうと書けば気にすんなと笑みを浮かべてくれる。それが嬉しくて申し訳なくて堪らない。
ギルは遠方に強いモンスターが居てそれの討伐に出かけていて、俺は大きな腹のせいでほとんどベッドの上にいる事が多くて体力が落ちていくのも感じているが、この腹の重さで歩く事が俺は出来ない。
夜中に腹痛に目が覚め、枕元に置いてあるアレックスを呼ぶ為のベルに手を伸ばしたが流石に申し訳なくて手を引けばパシャッと水が出てきて困惑してしまう。お腹の子死んでしまったのか??
「ゔぅ゙!!!」
お腹を抱えながら苦しくて眉間に皺を寄せ、どうしたら良いかわからなくて痛みに耐えていれば子が降りてくるのを感じて起き上がってみたが、出口を塞いでしまいまた寝転がり股を開く。
「ぅぁ…!うぅ!!」
シーツを握りながらお腹に力を込めてみるが産まれてこなくてずっと腹痛に襲われてしまう。泣きながらお腹に力を込めていればゆっくり扉が開いてゆく。
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