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赤ちゃんは健康的に育ち、真っ白な髪に紫電の瞳の美しい子で使用人達から愛でられて育っている。俺は相変わらず喋る事も重い物も持つ事が出来なくて、我が子を抱く事も名を呼ぶ事も出来ない。
「ほらルシア」
母乳をあげる時はギルが抱いててくれて飲ませていて、ギルはルシアが吸い付いて飲んでいるのをじっと見つめている。
『ルシアが寝てる時にね』
「っ…!?」
頬に書いてやれば驚いていたが、フッと笑みを浮かべてくれた。約束通り夜ルシアが寝てからギルは俺の母乳を吸い尽くすんじゃないかと言うほど飲んでゆく。
「ぅぁ…」
「大丈夫飲み尽くしはしない。と、思う」
俺が頭を撫でればギルはチラと俺を見てからまた飲んでゆく。赤ちゃんを産む前は乳首でなんてくすぐったくも無かったのに、今ではギルに吸われるだけでツンと立ち敏感になってしまう。
「うぅ…」
「ん?俺も愛してるよ」
頬を引き寄せて唇を重ねてゆけばギルもまた唇を重ねてくれる。ルシアが生まれてからもう幾度となく身体を重ねていて、俺のお腹には新たな命が宿っているのは、まだ俺もギルも知らない事だった。
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