青い薔薇の咲く場所で

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俺は華奢でもないし、可愛らしくもないのにどうしてこう抵抗もなく膝に乗せられるのだろう。そう思っていれば腰を抱き寄せられ、体を密着させる形になりその温もりと火の温かさでウトウトし始めてしまう。 「眠いのか」 「ん…」 もぞっと胸元に擦り寄れば、顎を掴まれ何度も触れるだけのキスをされ俺は眠りにおちていった。いつも暖かく柔らかなベッドで眠っていたが、どこか満たされないものがあったが今は固く体勢も楽とは言い難いものの、心満たされて眠りにつけた気がする。 朝になり目が覚めればまだギルの腕の中に居て、重くはなかったろうかと心配してしまうがギルは剣を握ったまま目を閉じていて俺はその寝顔を見つめた。 目が覚めた時誰かが居た記憶は無くて、誰かの寝顔を見たのも初めてかもしれない。愛馬もまだ眠っているようで伏せていて、俺が起きた事に気付いて顔を上げ俺に顔を擦り付けてきてその頭を撫でてやる。 主に似てがっしりした身体付きだが、瞳が丸くて綺麗で目を細めて撫でていてギルを見て心臓が止まるかと思った。じっと見つめられていて、全く気付かなかった。 「ぅぁ…ぅ…」 「おはよう。服も乾いただろうし先を急ぐぞ」 立たせてもらい服も手渡され、もたもたと履いてまた馬に乗せてもらいギルも乗り森を抜けた。更にいくつかの村や街を抜けて馬は大地を駆け抜けた。
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