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夜明け頃にたどり着いたその土地は干ばつにより荒れた土地で、住んでいる村の人達も痩せ細り俺達を見て歓迎した雰囲気だったが内心俺を恨んでいるかもしれない…俺は一応王族の人間だ…
どうしてここに来たのかと尋ねようとしたが馬から降りて俺もおろし、ついてくるなと言わんばかりの目で見て村長らしき男と一件の家へ入って行った。
そして俺は降ろされた所から一歩も動かずにひたすら待ち続け、出てきたのは日が昇った頃だった。俺が一歩も動いていないのを見たギルは、腰に手を当て片手で顔を覆って呆れた様子に見え目の奥が熱くなるのを感じた。
また何か間違えてしまったのだろうか?それとも迷惑でもかけてしまったのだろうか…歩み寄ってきてふと手が上がりビクッと身構えれば頬に触れられる。
「この村でしばらく俺の帰りを待っててくれ。俺は少しでかけてくる」
そう言い残し馬に乗って駆ける背中を見送り、俺は村長の家で過ごす事となった。少しでも畑を耕して作物が育てられるようにと皆が耕すのを見て俺もと思ったが、農具を持ち上げる事が出来ない…
「何で騎士様はあんなの置いて行ってしまわれたのか…」
「カッコイイと思ったけどあれは無いわ」
皆口々に俺の事を小声で話している…俺は村長の家の隅で膝を抱え邪魔にならないようにするのが精一杯で、食事といえばほのかに野菜の出汁のスープを三食口にするくらいだった。
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