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いつも四角く切り取られた空を見つめていた。
俺は幼い頃から喋るという事が出来なくて、頭も悪くよく父である国王に叱責され打たれて泣く事も少なくなかった。その父の逆鱗により触れてしまったのは、朝起きた時に下着が血に汚れていた事を報告した時だった。
その時の父の絶望した顔を今でも忘れはしない。俺は奇病で女性器を合わせ持ち産まれてきていたのだが、それが父にバレた時は跡取りの俺が子を産ませる事の出来ない事実にショックが大きかったのだろう。
空には大きな鳥のようなモンスターも空を飛び、街の外には人を襲う存在も少なくない。その存在に襲い殺されたらどれだけ楽になれるだろうと日々考えてしまう。
昔は女の子らしかった俺も今では立派な男になっていて、白髪に赤眼で父にも母にも似てなくて拾われた子なんじゃないかとさえ思ったこともある。
そんな俺には弟が居て、イケメンで剣の腕も立ち俺の事はまるで居ないかのような振る舞いをしている。誕生日に祝いの為庭の花を詰んで持っていったが、そのまま素通りされた事は今でも忘れない。
俺は剣を持ち上げる力もなくて、存在理由など見い出せるわけもなくこのまま一人で死んでゆくのだと…ずっとそう思っていた。
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