カンジョウ、ぐるぐる。

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 最後のタイムリープが始まる。 「どうしてそこまで結婚にこだわるの」  僕はあの日言うべきだった答えを言う。 「二人で幸せになるためだよ」 ――悠と一緒に幸せになりたかっただけなの。  電車の中で梓の答えを聞いて大切なことを思い出した。  僕はいつの間にか、結婚することそのものが目的になっていた。梓とずっと二人でいるために結婚したい、そんな気持ちで交わした約束だったのに、約束を守るために結婚しようと意固地になっていた。 「梓が好きで、梓との未来を描きたいから結婚したいんだ」  航と綾野さんもきっとそうだ。結婚することが目的なのではなく、二人の思い描く形の永遠を手にする手段として、海外での結婚を選んだのだろう。そんな当たり前のことを僕は今までちゃんと伝えていなかった。 「馬鹿……そんなこと言われたら、これが正しいって思っちゃうじゃん」 「正しいか正しくないかなんてどうでもいい。僕は梓と一緒にいたい」  僕は梓を抱きしめた。もう周りなんて見えていない。夜が明けるまで、僕はずっと梓を離さなかった。
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