君は心の夫(つま)だから

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上下左右、様々な方向からのライトに照らされながら幕が下りていく。 沢山の拍手が歓声がゆっくりと静まっていく。 緞帳の向こうの客席に、感謝を込めてもう一度深々とお辞儀をした。 舞台袖から駆けてきた松田武夫に支えられて楽屋へと向かった。 花房亜香里10周年記念コンサートが無事に終わったのだ。 楽屋で一息ついたところで、郷里の父に電話を掛けた。 「お父ちゃん、無事に終わったよ」 「そうか、よかったな。おめでとう」 「ありがとう。また、CDを送るから、お母ちゃんと聴いてね」 「おう、楽しみにしとるぞ」 「お母ちゃんの具合はどう?」 「うん、大丈夫。お前のコンサートがあるて聞いてから、調子がええわ」 「ちょっと代わるから」 続いて懐かしい母の声が聞こえた。 「あかりちゃん」 「あ、お母ちゃん!元気そうでよかった!また会いに行くからね。元気でいてね」 「うん、うん、あんたも元気でな」 お父ちゃん、お母ちゃんのおかげてここまでやって来れた。 夫唱婦随っていうのかな? 言い合いになったときは、お母ちゃんの方が強そうだけど。 でも、あの二人にはいつも温かさがあるよね。 結婚したらあんな夫婦になりたいなといつも思っている。
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