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てっちゃんの作風は、エロスとタナトスをぐちゃぐちゃに煮詰めて、手ぬぐいでまとめてぎゅっと絞ったおからのようにパサついたもの。
中一の夏休み、お家の人の仕事を知ろうという迷惑な作文が出され、てっちゃんの部屋から八宮徹舟名義の本を適当に取ってきて読み始め、その個所にくるとぱたんと本を閉じたわたし。性欲ゼロの少女漫画的王子さまが、肉欲を知る成人男性へと変貌した瞬間だった。
それ以来、時々あるてっちゃんの外泊の意味がわかるようになった。月に数度あったお泊りの日は、典子さんのところに預けられた。
典子さんとはママのお母さん。つまりわたしのおばあちゃんだけれど、おばあちゃんと呼ぶと怒られる。元芸妓、今は先斗町で小料理屋を営んでいた。
あの外見なのだから、光源氏なみに恋人がいても驚かない。でも、一度も女の人を家に連れてきたことはない。恋愛みたいなものは、どうぞ家の外でやってください。
てっちゃんは今、極小的美的センスを無視してブルーのオープンカラーシャツとベージュのチノパンという地味な格好をしている。
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