第一章 都のはずれ

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 節約とは、お金を惜しんで時間をかければいいというものではない。時間も価値があるのだ。すなわちTime is money.特にこのクソ忙しい朝は、寸暇を惜しむ。  朝起きて一番に洗濯機を回し、その間トーストに庭でとれた甘夏で作ったジャムをぬって食べる。わたしが暮らすここは京都府であって京都でないが、京都の朝食の定番はパンである。  えっ、雅な京都なのに、朝ごはんは和食じゃなくて、パン? と思ったそこのあなた。京都府はパンの消費量が毎年トップファイブに入るほどの、パン好き都市である。  その理由は、職人さんが多いという理由らしい。忙しい職人さんは、ささっとパンで朝食をすますそうだ。  そう言うと、農家も商家も忙しいじゃん。と思うだろう。ようは、街中にパン屋が多いと言うのが理由だ。なんでも、明治二十年代からパン屋が軒を連ねていたとか。  さてさていい感じにあめ色の豚肉が焼きあがった。香ばしい匂いとともに、キャベツの千切りが盛られたお皿とお弁当箱にとりわけた。
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