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「そんなぁ……嘘でしょ?」  朝、駅前のバス停で時刻表を見ながら、私は落胆の声を上げた。  大学を卒業し、この春から晴れて社会人となった私は憧れのイベントプランナーになる為、関東の片田舎にあり業界では名の知れたイベント企画会社への就職が決まり、先週まで二週間の新人研修を終えて本日からようやく勤務開始初日となるのだけど、あろう事か、このままでは遅刻確定という事態に陥っていた。  駅からバスで二十分程度の場所に会社はあるのだけど、乗るはずだったバスがつい今しがた行ってしまったのだ。 「次のバスは二十分後とか……それじゃあ間に合わないよ……」  電車を降りた時、人とぶつかって弾みでコケた挙句、バッグを落として中身をぶちまけたりしなければバスに乗る事が出来たに違いない。  いや、そもそも、当初乗る予定だった電車に乗り遅れて、一本後の電車に乗った事が運の尽き。  そして、都会生まれで都会育ちな私は、田舎の交通事情を甘く見ていたのだ。  都会ならば電車もバスも十分しないうちに次が来るから乗り遅れても問題ないのだけど、田舎はそうはいかないらしい。  仕方ないからタクシーに乗ろうかとも思ったけれど、何故かタクシーが一台も見当たらない。 「何なの? タクシーだって今から呼んだんじゃ間に合わないし……」  かくなる上は走って行くしかないのだけど、体力にそこまで自信のない私の足では、到底間に合いそうにない。  さて、一体どうしたものか。  その時、送迎を終えたらしい一台のタクシーがこちらへ向かってやって来た。
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